割れた破片が地面に転がっていた。
鍵穴周辺はマイナスドライバァのよぅな細いもので
こじ開けられた跡が残っている。ひどいやつだ!!ついさっき文春文庫-佐々淳之氏の「突入せよ!あさま山荘事件」を読み終えたばかりで、犯罪に対する危機感と嫌悪感を募らせていた私は、思わず唸った。とっさに警視庁長官などが犯罪組織から恨まれて狙われた事象を思い出す。まさか俺にまで!?
在学中は悪に対して猛威をふるったチャレンジ同好会部長の座はとっくに退いている。大学ではできるだけおしとやかに生きようとしていた矢先にこんなことに出くわすなんて。やはりチャレンジ同好会名誉顧問の座は辞退した方がよかったのか?同好会員及び元生徒会執行部の安否が気遣われる。ちくしょー俺以外の仲間に手ぇ出しやがったらただじゃおかないぞ。俺なりに深い憎悪を煮やし、あさはかな犯人への復讐を誓う。
そんなわけで、007と事件との遭遇を面白おかしく喋りながらも、心の底では動揺を隠しきれなかったのである。
つづく