キキがくれたもの
〜1人でがんばるキキとおまえ、それと俺へ〜


あの日おまえ好きになったんって、なんか、空からキキがふんわりと降りてきたみたいな感じやってな、素直にちょっかい出したくなってん、トンボと一緒や。 遠いとこからやってきて1人で住んでるおまえが、13才になって魔女の修行にでたキキと妙に重なって見えてな。

思い起こせば俺も失礼やったなぁ。突然ドサット横に座って話しかけてたら、そらトンボとなんも変わらへんわな。おまえが嫌がったんもよぅわかる。 せやねんな、いろいろと聞いてみとうて、いっぱいな。あれでもあれこれ気をつかっててな、でも逆にありがた迷惑やったやろう、いうかただの迷惑な。すまん、まだ面と向かって謝ってへんけどすまん。

俺はおまえの過去も未来も知らんわけ、でも今のおまえが好きやねん。どうやったら心開いてくれるんか、そればっか考えて。あぁ、トンボ役なんか違てジジがええなぁ。生まれたときからおまえのパートナーやったらなぁって思った。

せやせや。キキは魔法が弱くなっちゃったけど、おまえにもキキみたいなことが起こると思うねんな。そんな時に俺は、ウルスラとキキみたいにおまえを支えられたらなぁと、ほら、ちょっとだけ優しいとこ見せてくれた時みたいに。

見るたび見るたび「元気か?」って聞きたくなるような顔ばっかり。なんでなん。楽しいけ?いろいろと辛いこととかもあるやろうけど、1人で乗り越えていくんやろ?

俺はな、おまえが好みそうな街を無理やり作ってな、どやってびっくりさせたかってん。そらあかんわなぁ、自分勝手もええとこ。

来年はおまえも二十歳やんけ。いちおう大人への一歩やろ。
知ってるけ?キキはあの街、好きになりよったで。がんばれっ。


他の思い出へ

03/07/26