感覚の不思議 00年2月

いつも昆虫を見ていると不思議になることがある。例えばアリだ。 彼らを高所から落としたときあいつらはなぜ着地後すぐに動けるのか。 昔はなぜ潰れないのかとか骨折しないのかとか思ったものだが、 それは彼らの質量や大きさ、造りによるものだと簡単にかたずけて しまおう。だが、普通ならばあいつらの視力からしても絶対に地面が 見えそうにない高さから落としても、恐怖のかけらもなくすぐに動け るのはおかしいと思ってしまう。何も見えない中を落下し地面に衝突 しているのだから、少しぐらい動きが止まってもおかしくはない。ひょっとしたら目が良いのかやつらは。それとも小さいころから、体を釣り上げられても死ぬことはないので焦るな、よくあることだ、とでも教えられているのだろうか。まったく昆虫の感覚には驚く。個々の常識 とは恐ろしいものだとつくづく思う。
話しは変わるが、人間と蚊が同じ速さで動いた場合、目の大きさや体 の大きさからしても蚊の方が速いと感じているはずだ。これも変だと 思う。あんな小さな体でなぜ人間よりも速く飛べるのか。ここでも速 さに関しては造りの一言で納得がいくが、やつらの速度感はどうなっ ているのか。体からして同じ速さでも人間の200倍ぐらいは速いと 感じているはずだ。生まれつきなんやろうなとしか言えない。ほんまに 地球上でもいろいろなやつらがいるなと驚くばかりである。
先程アリを例に挙げたが、人間の視力がアリと 同じくらいだったら世界はかなり変わっていたのではないかと思う。 例えば会話する時かなり近づいて話すだろうし、映画館はどうなって いただろう。看板など日常の文字は大きくなっていただろうが、 そんなことよりも大変なのは交通手段である。時速30Kmなんて速さ で移動していたら、相次ぐ事故でどうしようもなくなるだろう。 芸術の分野も発展がゆっくりだったかもしれない。 考え出すときりがない。