壊れかけのradio
- 連続日記小説第1弾 -


連続日記小説「壊れかけのRadio」第1話

今日から連続日記小説を不定期で始めようと思います。毎回その場で続きを考えるように心がけますので。最後には何とか「壊れかけのRadio」という題がぴったりになるように誤魔化します!では1話をお楽しみ下さい。

――昭和58年4月 京都
「おっぎゃぁ」
両親とその両親に見守られるなか、1つの命が力強い産声をあげた。名を文和と言った。


連続日記小説「壊れかけのradioレディオ」第2話

<前回までのあらすじ>
昭和58年4月、力強い産声と共に 文和ふみかず が誕生した。

「おーや、誰かさんははおやに似て顔がぼてぇっとまぁるいねぇ」
義母が笑顔のままでそう言い放った。もちろん和子には聞こえていたが、聞こえないよとでも言いたげに、我が子の頬にそっと耳を押し当てた。その顔は丸かった。


連続日記小説「壊れかけのradioレディオ」第3話

ちびたっつめたい!」
和子はそう叫んで我が子を放り投げた。文和は既に息をしていないようだった。
ひしーっと場が凍りついた。一呼吸おいて、
「和子さん、あなたって人は!」
病室にぽとりと落ちた孫を心配する気配はなく、ただ嫁いじめだけが義母の楽しみに見えた。


連続日記小説「壊れかけのradioレディオ」第4話

その時である。何者か声が床から湧き上がってきたのは。
「まずは奇襲成功……」

「赤ちゃんが喋ったわ?!」
和子は子どもを落として気が動転していたが、それは紛れもなく床に突っ伏した文和(ぶんわ)から発せられていた。


連続日記小説「壊れかけのradioレディオ」最終話

和子は慌てて文和を抱えあげた。すると文和の口から甲高い女性の声が発せられた。

「郭家の皆様、脅かしてすみませんでした。文和さんは別室で眠っておられますのでご安心下さい。皆さんが目の前にしておられる赤ちゃんは、私ども病院が開発した赤子型ラジオなんです、ご出産のお祝いにどうぞお受け取り下さい♪」。

その後、文和はすくすくと育った。そして、文和似のそのラジオは、今でも部屋の隅から郭ファミリーを見守っている。




初めての連続小説公開でした、一部受けしました。

05年11月18日〜29日まで全5話で連載