ブルボンと江崎グリコ
これから貸借対照表にそって両社の業績を比較を通じて特徴を探るのですが、企業の規模を測るために単純に総資産を見てみるとブルボンの453億円に対してグリコは2351億円と5倍以上・2千億円もの開きがある。ブルボンの年間純利益が4億円であることを考えると、総資産の観点から両者の規模はかけ離れていると言える。
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ブルボンは7億2千万円、グリコは69億3千万円となっている。両者共に平成13年度より業績が悪く、ブルボンはマイナス8.5%、グリコに至ってはマイナス32.9%と14年度の日本の不況を感じさせる数値がうかがえる。ちなみに13年度3月末の日経平均株価は13,000円で9月末には9,800円に急落、14年度3月末には11,000円と一時回復したものの、現在7月時点では10,200円と安定しない。結果的に一万三千円から一万千円まで下がり、15%減となった。その中で経常利益が前年度比マイナス8.5%であったブルボンはある意味優秀かも知れない。
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・総資本経常利益率= (経常利益÷総資産)を計算してみる
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ブルボンが1.6%であるのに対してグリコは2.9%とその差は大きい。しかし前項でも述べたように、グリコは経常利益前年度比が33%減と恐ろしい後退をしているため、資本利益率だけでは先行き不安は免れない。
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またここより引用した日本の企業の総資本経常利益率の平均は、上場企業で2%ぐらい、製造業平均は3%弱です。中小企業を含めると5%ぐらいが平均的数値です。上場企業であるブルボン・グリコは平均前後を保持しており、特別に良くも悪くもないと言えるでしょう。ちなみに電気機器やサービス業が上位で30%以上の総資本経常利益率を出しているのと比べて食料品業は低く、食品の中でも強い伊藤園や日清食品で14%前後だ。せめてもの救いである。
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2千年より作成が義務付けられ、従来のP/L,B/Sに加えて三大試算表として重要視されているキャッシュフロー計算書から、両社の状況を考える。
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ブルボンのキャッシュフローはこうだ。営業活動:26億円、投資活動:△28億円、財務活動:5億円となっており、合計3億円の黒字だ。ROIだけを見ると8.5%ものマイナス成長しているが、キャッシュフローでは僅かながら成長している。また、01年の成績が、営業活動:26億円、投資活動:2億円、財務活動:△38億円だったことから、02年は財務面で工面した金を投資に当てたと考えることができる。
次に、グリコを見ます。グリコは売上高が前年と同じであるにもかかわらず、営業利益・経常利益ともに30%以上の減益に悩んでいます。売上が変わらずに利益が落ちるという理由には、新たな設備投資などが考えられます。詳しく計算書を見てみると、財務活動の110億円ものマイナスの8割を占めている項目がありました。「自己株式の取得による支出」に84億円を支出しています。自己株式の取得の意味を特定することは難しいのですが、一般には経営者が自社の株式が過小評価されていると考えるときに株主価値増加のために利用したり、リストラの推進の手段としての利用されるとのこと。それにしても330億円あった現金及び現金同価物が245億円にまで落ち込んだところを見ると、このままずるずるといけば3年で破産することになります。しかしそんなに単純な世界ではないのでしょう・・・
お し ま い